[第一回5vs5公式大会]Warsong Championshipを振り返る!


9月1日、9月2日に第一回5vs5公式大会Warsong Championship(WAC)が開催されました。参加人数130人、26チームという大盛況ぶりでした。
大会運営兼実況は†キリト†さん、解説がチャイさん、また、オルランドゥさんも解説に一時加わりました。大会運営お疲れ様でした。

今大会はフルパーティによる初の大規模な大会でした。つまり、チームメンバーの構成は、これまでのように大会運営が振り分けるのではなく、プレイヤーたちが自らエントリー時に5人全員を揃えた、ということになります。各チーム、それぞれ大会に向けて5人で準備を進めたのではないでしょうか。事実、多くの試合において熱い戦いが繰り広げられたように思います。

abcgo02も今大会にはエントリー。今回はチームᏴᏌᎠ(バディ)の一員として参加しました。
本記事では全ての大会模様を振り返る、ことはできないので(主に配信アプリであるミラティブくんのせい)、これまでとは趣向を変えた観戦記にしようと思います。
この記事ではabcgo02の参加した2試合、及び、土曜日優勝チームと日曜日優勝チームによる決勝戦3試合の計5試合をじっくり振り返っていこうと思います。地味に長くなってしまったのでお時間ある際にのんびり見ていってください。

abcgo02の1試合目:BNS vs ᏴᏌᎠ

abcgo02の1戦目の相手はチームBNSでした。日曜ブロックの1戦目は一部試合を除いてミラティブでは配信されていません。どのような試合模様であったかを振り返ろうと思います。
構成は次の通りでした。


チームBNS:
1ファイター(ヘラ)、1タンク(メッツガー)、1メイジ(イレーネ)、1マークスマン(ナーリ)、1アサシン(千里)という構成。
チームBUD:
2ファイター(ヘラ、名無)、1タンク(ホートン)、1マークスマン(アルヴィラ)、1サポート(マーモン)という構成。

チームBNSはサポートを除く全ロールを採用です。チームBUDはメイジを入れず、その代わりとして、ホートンとマーモンが魔法攻撃のダメージを与える役となっています。チームBNSとしてはイニシエートはヘラかメッツガーから、チームBUDとしてはヘラかマーモンからのスタートになりそうです。

この試合は非常にスローペースな試合だったと言えます。ファーストキルが起きたのはなんと5分を過ぎてからです。両チーム共に互いの奇襲を警戒していたように思います。イニシエートはマーモンのグランデの崇拝からでした。

ボトムレーンに4人集まってのガンクでしたが、ヘラがミニオンを処理できたタイミングで仕掛けられたのは良かったと思います。人数差を作れていたのでタワー奥であっても強気に攻められます。マーモンのグランデの崇拝に、名無の行雲剣、ホートンのパワースライド、を合わせる攻め方はシンプルですが確実な攻め方です。マーモンのグランデの崇拝スタートは味方とのタイミングが合えば非常に強力なコンボとなりますが、即座に仕留めることに失敗した場合は大きなリスクになります。敵のスキルを中断するスキルを味方全員が使い果たしてしまうことは、敵にカウンターのチャンスを与えることになるので、宝箱に入った人数とそうでない敵の数、その位置、に注意が必要です。この場面では観察眼を先に使って2人しかいない状態を見てから仕掛けています。

試合時間が10分を過ぎた頃、トップレーンとボトムレーンのファーストタワーを折り、ミッドレーンのファーストタワーを狙う場面です。反省しなくてはならない点がいくつかあります。

この攻め方は非常に悪いです。サイドレーンのタワーを折った後、ミドルレーンのタワーを狙うという発想自体は悪くはないと思います。この場面の直前、チームBUDはトップレーンのファーストタワーを折ることに成功し、そのままミドルレーンへと流れました。これがあまり良くなかったのかもしれません。サイドレーンのミニオンを先に処理するメリットとは、敵ヒーローをサイドレーンに釣ることができることです。サイドレーンのセカンドタワーにミニオンを押し付けられれば、敵ヒーローは自タワーを守るべくサイドレーンに行かざるをえなくなります。両サイドのレーンでその状況を作れた時、ミドルレーンの守りは当然、薄くなります。つまり、人数差を作れるためミドルレーンのタワーが狙いやすく、タワーダイブもしやすいということです。
しかし、この場面では両サイドのプッシュが出来ていないため、サイドレーンのファーストタワーを折ったメリットがあまり活かせていません。

また、全員がミドルレーン付近にいる時間が長いことも問題です。これだと、相手(今回の場合はチームBNS)もミドルレーンの周りにあらかじめ集まることができます。守りの態勢を作らせてしまうような動きをabc含めチームBUDはしてしまったということになります。そのため、BNSのメッツガーによるラムスローターを入れられてしまい、無理やり集団戦が始まってしまい、結果、チームBUDはヘラ、名無、マーモン、ホートンをキルされ、ボトムレーンのファーストタワー、ミドルレーンのセカンドタワーを折られてしまいます。

勝負の分かれ目は深淵の支配者の撃破と復活バフの獲得だったと思います。

マーモンのグランデの崇拝からチームBNSのナーリ、イレーネ、千里、を落とすことに成功したあと、深淵の支配者の撃破に乗り出します。相手チームの火力3人を落としたので、深淵の支配者の撃破を横取りされることはないだろうと踏んでの動きでした。倒すのに時間がかかり、グランデの崇拝を切らざるをえない状況に追い込まれましたが、無事に復活バフを獲得。そのまま、復活バフの優位を保ったまま集団戦を経て、クリスタルの破壊にこぎつけました。

この方法は後に解説する2戦目でも採用されます。

復活バフの恩恵を受ける味方。この直後に試合は終結。

BNSとBUDの勝負、最後までどちらが勝つかわからない熱い試合であったと思います。大会前の練習では実は何度かマッチしていたりして、その時から互いにいい勝負であったと思っています。今大会において、試合開始前にマーモンアイコンがひしめく部屋が誕生したこと、非常に嬉しかったです。対戦ありがとうございました。

みんなマーモン大好きってことですよね。シルバーにしてくださいね。

試合動画

abcgo02の2試合目:roAm親衛隊 vs ᏴᏌᎠ

さて、2戦目。BUDはroAm親衛隊とぶつかりました。この試合はミラティブで配信されたので、試合模様を観た方々も多いかもしれません。
今回の観戦記を書くにあたって、改めてアーカイブを何度も見直しました。「マーモンの王」「マーモンだけで笑いを取る男」「各界のマーモン使い」「ジャガイモ」「出荷」「ドナドナ」といった数々のパワーワードが生まれてしまった試合のように思います。それでは振り返っていこうと思います。

まず、両チームの構成は次の通りでした。

roAm親衛隊:
2ファイター(ヘラ、名無)、1タンク(メッツガー)、1マークスマン(アルヴィラ)、1アサシン(カデイヤ)という構成。
チームBUD:
2ファイター(ヘラ、名無)、1タンク(ホートン)、1マークスマン(アルヴィラ)、1サポート(マーモン)という構成。

今大会での大きな特徴は、ヘラとアルヴィラが多くのチームで採用されていることです。両チームともヘラ、名無、アルヴィラを採用。異なるのはタンクのメッツガーとホートン、アサシンのカデイヤとサポートのマーモンです。マーモンからしたらメッツガーもカデイヤも非常に厄介な相手です。

BUDの場合、イニシエートはマーモンスタートが有力な手段でした。しかし、実は試合開始前の作戦会議において、この試合に限ってはこの方法は取らない、ということをチームで決めていました。理由としては、メッツガーとカデイヤの2人が相手にいる場合、マーモンのグランデの崇拝スタートからだとそれぞれのulti、ラムスローターや夜鳥降撃によってカウンターを決められる可能性が高いから、というものでした。これら2ヒーローのイニシエートに合わせて攻撃を仕掛けてくる敵ヒーローを阻む、そのためにマーモンのultiは温存する、ということです。そのため、チームの方針は、「こちらからは決して先には仕掛けず、相手のスキルを確認してからカウンターを狙う、デスはなるべく抑えてタワーはセカンドまでは渡しても良い」というものになりました。

さて、試合が始まってファーストキルはroAm親衛隊が決めます。マーモンがミドルレーンに離れているところを上手く突かれた形です。ボトムレーンにて1-2の形を作ってしまったことはabcgo02の痛恨のミスでした。

その後、試合時間3分30秒を過ぎる頃に、全てのレーンのファーストタワーが破壊されます。BUDに取っては決して良い展開、とは言えませんが、キルを抑えつつ、集団戦が通用する段階まで時間を稼ぐ、という意味では概ね計画通りでした。ミラティブでは「マーモンがいる時のファーストタワーは飾り」というコメントが寄せられていたようですが、まさにその通りの試合展開でした。

ちなみに余談ですがこの9月の大会でのマーモンの装備は初手にジェリッドガントレット、2手目にパイオニアブーツ、3手目にリリーフシールド、4手目にリジェネストーン、5手目にジェリッドワンド、6手目にネザーチェストです。パイオニアブーツはリジェネストーンが出来た段階でエレメントブーツに買い換えます。
実況の†キリト†さん、解説のチャイさんが指摘するように、この装備は味方のサポート及び集団戦を見据えた装備案となってます。

その後、ゆっくりと試合は展開されます。7分を過ぎた時点で互いのキルスコアは、roAm親衛隊が3、BUDもまた3でした。
試合が大きく動いたのは9分40秒を過ぎる頃です。
ミドルレーンのサードタワーに侵入してきたヘラとアルヴィラに対し、カウンターとしてグランデの崇拝、その後、シャイロックの噛みつきをアルヴィラに当てたことをきっかけに、ホートンのパワースライド→ヘラの忍び寄る死→運命の果て→アルヴィラのブラッドブルームの攻めを繋げられました。roAm親衛隊のメッツガーのラムスローターはホートンとヘラに入りますが、BUDの火力源であるアルヴィラと名無はフリーであったため、BUD側としては攻めやすい形となりました。ここにきてようやくジェリッドガントレットによるスロー効果が力を発揮しています。ブラッドブルームを使うアルヴィラに、次にメッツガーに、夜鳥降撃を使った後のカデイヤにスロー効果を与えることが出来ました。この戦闘においてシャイロックの噛みつきを3度(アルヴィラ、メッツガー、カデイヤ)当てることが出来たのも良かったと思います。

今となってやや悔やまれるのは、サードタワーをここで狙っても良かったのではないか、ということです。roAm親衛隊のアルヴィラとメッツガーが戻ってくるため撤退しましたが、無理やり当たっても良かったかもしれません。しかし、確実にもう一度カウンターを決めて全滅を狙った方が良い、という判断をこの時はしたのだと思います。5-0の集団戦を出来たことは非常に良かったと思います。

この後abcgo02は痛恨のミス(2回目)をします。それはグランデを崇拝を先に使ってしまった、というミスです。タワーがある状態ならともかく破壊されてしまった時にグランデの崇拝が使えなくなってしまった、ということはメッツガーのラムスローターやカデイヤの夜鳥降撃といった仕掛けに無力になるということです。事実、グランデの崇拝を使った後、マーモンは出荷されてしまいました。そして為す術なくキルされてしまいます。

この後、トップレーンのサードタワーも折られてしまいます。そのまま集団戦へ。roAm親衛隊のフォーカスはBUDの名無に向かいますが、鏡花水月で難を逃れる好プレー。

かなり危うい状態だが…

鏡花水月を使用中の名無は無敵状態、強力なultiだとつくづく思います。

roAm親衛隊のメッツガーのラムスローターがBUDホートン、ヘラ、アルヴィラに刺さりますが、一方、ホートンのパワースライド、ヘラの運命の果て、アルヴィラのブラッドブルームもまたroAm親衛隊のカデイヤ、メッツガー、ヘラに刺さっていました。結果、roAm親衛隊のキルが1、BUDのキルが3となります。BUDアルヴィラのブラッドブルームが長時間キャンセルされなかったこと、ホートンの打ち上げとヘラの2スキが敵の動きを止めたこと、これらが上手く噛み合ったようです。

この直後、BUDはroAm親衛隊が3人落ちていることから深淵の支配者を狙います。サードタワーを狙う判断と迷うところですが、深淵の支配者を撃破して優位な形を先に作ろうという腹でした。想定外であったのは深淵の支配者の撃破に思った以上に相当、時間がかかってしまったこと、敵が全員寄ってくるまでに撤退することが出来なかったことです。1試合目には深淵の支配者を撃破したのち、態勢を整えてから集団戦へと繋ぎましたが、この戦いでは深淵の支配者を撃破した際にroAm親衛隊にガッツリと当たられる形になりました。グランデの崇拝を温存していれば、回避が出来たかもしれません。しかし一方で、名無に使っていなければ深淵のバフをスティールされていたかもしれません。マーモンの装備をジェリガン、パイオニア、リリーフ、リジェネ、ジェリッドワンド、とタンク寄りにした結果、火力が出なかったとも言えます。

難しい局面でしたが、深淵の支配者周りでの戦いを制したのはroAm親衛隊、そのままggとなりました。惜しくもBUDはここで敗退となりましたが、良い戦いを出来たと思っています。roAm親衛隊の皆さん、ありがとうございました。そしてBUDの皆、お疲れ様でした。

試合動画(一部止まっている場面がありますがこれはミラティブくんの仕様でしたのでご了承ください)

余談:
試合終了後にアーカイブを見直す際、意外と気になるのはどんなコメントがされていたか、ということではないでしょうか。abcは試合が終わった直後に遡れるところまで一応、保存しました。これを書く際に見直しましたが想像以上に「ジャガイモ」「出荷」の文字が多く、絶句しました。

決勝戦1戦目:Re vs Ace

土曜日優勝チームのReと日曜優勝チームのAceによる決勝戦の1戦目。
構成は次の通りでした。

チームRe:
2ファイター(ヘラ、名無)、1タンク(メッツガー)、1マークスマン(アルヴィラ)、1アサシン(千里)という構成。
チームAce:
2ファイター(ドーウェン、名無)、1タンク(メッツガー)、1マークスマン(アルヴィラ)、1メイジ(シーナ)という構成。
両チーム共に、名無、メッツガー、アルヴィラは採用という形になりました。

決勝戦では数々の好プレーがありましたので、その一部を振り返ろうと思います。

まず最初に注目すべきは最序盤にチームReが赤バフを奪いにいく場面でしょう。

これは凡庸スキルに隠れ身を採用しているからこそできた攻め方だと言えます。ヘラと千里が隠れみを用いてチームAce側のジャングルに向かい、赤バフを奪取に成功。これだけでも非常に良いプレーですが、更にチームAceのメッツガーを狙っています。この時、ミドルレーンにいる名無の動きを見ると、この一連の攻めが周到に準備されたものだとわかります。

チームRe側の名無は先にレベルを2にしています。ミニオンを早めに処理してから隠れ身を使うことで、ガンクへの準備を整えることができています。ミニマップの動きを見てもわかる通り、ミニオンを押し付けたのち、即座に敵ジャングルのブッシュ(茂みのことです)に向かっています。結果として、赤バフを奪い、更にキルを取るという成果をあげることができました。

 

続いて、両チームの集団戦を振り返ります。
集団戦を見ると、両チームそれぞれの寄りの速さ、そして、ブッシュをいかに上手い活用法を見出すことが可能です。
次の場面はその例としてわかりやすいと思います。
スローver(音なし):

チームのAceの名無をチームReのヘラ、千里がガンクを仕掛ける場面です。奇襲が決まったかに思われましたが仕留めることは叶わず、名無がultiの鏡花水月を用い、ここから集団戦へと繋がりました。当初、2−1の局面でしたが、チームAceのメンバー全員が集まることで状況は一変、人数差を作ることができたAce側が千里、ヘラをキルすることに成功しています。チームAceの名無は鏡花水月を用いたあと、一度、離脱しています。よく見るとミドルレーン脇のブッシュに潜み、パイオニアブーツの回復を活用しています。この間、チームReのメッツガーがチームAceのドーウェンを引っ張り、ultiのラムスローターを更にアルヴィラ、シーナ、ドーウェン、の3人に当てています。これにチームReのアルヴィラがulti、ブラッドブルームを合わせてAce側のアルヴィラのキルに成功。この場面において、Aceのシーナが瞬間移動で青バフの地点に、また、ドーウェンが遊撃体制のスキルでラムスローターから離脱しています。シーナは二度目の静電界を用いることで、シールドを獲得しより長く生存時間を伸ばしています。ドーウェンは青バフ上のブッシュに退避、遊撃態勢のスキル後の攻撃でRe側メッツガーをキルし、回復に成功しています。

これをスローなしでみると次のようになります。
通常ver:

集団戦ではスキルを全部使って突っ込み、その後はとにかく通常攻撃、と考えている人もいるかもしれません。ですが、スキル使用後に一度退避して敵の攻撃をかわし、それから再度スキルを使って攻撃に出るというやり方をこの場面からは見ることができそうです。

決勝戦1戦目ではドーウェンのulti、運命の聖槍による1.5秒間のスタンが活きる場面がありました。相手の攻撃を中断させ、そこから反転を狙うことができています。

動画前半の場面について。
チームReはチームAceのメッツガーをキルすることに成功しています。試合を観ていた多くのプレイヤーは、チームAce側のミドルレーンファーストタワーが折られると予想したのではないでしょうか。メッツガーに拘束される可能性が潰えたため、敵のアルヴィラがブラッドブルームを用いたとしてもそれを避けることは難しくないですし、スキルを用いて反撃することも十分可能だからです。チームRe側がこの時点で5人全員が揃っていることを考えると、ファーストタワーを即座に折りに行く判断は適切なように思われます。
この場面で興味深いのは、タワー下のAceのシーナがセカンドタワー寄りに下がるタイミングと、同じくAceのドーウェンが出現するタイミング、これが重なっていることです。シーナのセカンドタワー方向へ後退は、チームReのファーストタワー下への侵入を誘引したように見えます(それが意図的かはともかく)。

セカンドタワーへ退くシーナ。写真左上には既にドーウェンの姿が見える。

ドーウェンがこのタイミングにおいて横から入ってくることは想定しづらいものです。事実、シーナの後退からドーウェンの出現までの時間は2秒足らずといったところ。そのドーウェンは遊撃体勢で瞬時に前進したかと思えば、即座にultiである運命の聖槍を放っています。

タワー下にて3人に1.5秒間のスタンを付与するドーウェン。アルヴィラがブッシュより出てくる。

壁への衝突により1.5秒間のスタン状態になったタイミングにアルヴィラのブラッドブルームを重ねられてしまえば、その間はRe側は回避することも反撃することもできません。タワー下でミニオンも同時に処理されてしまうので、タワーダメージも入ってしまいます。仮にドーウェンが凡庸スキルに隠れみを用いていたとしたら、背後からの奇襲があるのではないか、と警戒することはできたかもしれません。敵がタワー下に入ったタイミングで横から現れて3人にスタンを付与するドーウェンの動きは必見です。

後半の場面について。
メッツガーのulti、ラムスローターを起点に攻撃を合わせ、アルヴィラのブラッドブルームをもって敵を一掃するという戦略は、オーソドックスな攻め方の1つです。そのため、メッツガーのultiのタイミングを警戒することは立ち回りにおいて重要だと言えるでしょう。敵チームにメッツガーとアルヴィラが揃っていた場合、メッツガーのultiとアルヴィラのultiはセットで飛んでくるものだと考えてよいです。

既にブラッドブルームとラムスローターのコンボは決まっている中での運命の聖槍。

この場面は、Re側が千里、メッツガー、ヘラ、名無、Ace側がシーナ、メッツガー、アルヴィラ、ドーウェン、がトップレーンのファーストタワー付近に集まり、、Aceの名無とReのアルヴィラはミドルレーンにいる状態でした。Re側の、名無の行雲剣→ヘラの忍び寄る死→メッツガーのラムスローター、の連続コンボは決まりましたが、その直後にAce側のアルヴィラのブラッドブルーム→メッツガーのラムスローター→ドーウェンの運命の聖槍の連続コンボが決まりました。アルヴィラのultiを止める手段がなく、メッツガーとドーウェンのultiによって行動を制限されたこと、これらはRe側には厳しい条件だったと思います。

最後の集団戦はRe側のミドルレーンセカンドタワー付近にて起こります。

通常ver

光の加護を用いたアルヴィラにある程度のダメージを与えた後、そのままセカンドタワーを折りに行くチームAceとそれを迎え撃つ形となったチームRe。ミニオンを素早く処理しようとするReの名無とメッツガー、に対し、Aceのアルヴィラ、ドーウェンが強気のタワーダイブを仕掛け、集団戦が起こりました。Re側としてはミニオンのみ処理して、全員フルヘルスの状態で集団戦に臨みたかったところですが、無理やり当たられた形のように思います。どちらのチームも敵方のアルヴィラを狙っていましたが、ここまでの戦いにおいて順調にお金を獲得してきたAceのシーナ、それに次ぐ名無が高い火力を見せ、全滅を成し遂げたのはチームAceでした。

画面外になってしまっているため非常に見づらいのですが、AceのメッツガーのラムスローターがReのアルヴィラを捕らえ、それにシーナが攻撃を合わせている様子を確認することができます。

参考までにスローver(音なし):

試合動画

決勝戦は1戦目から非常にハイレベルな戦いだったように思います。この熱戦を制したのはチームAceでした。続いて2戦目を振り返ります。

決勝戦2戦目:Re vs Ace

決勝2戦目です。構成は次の通りです。

チームRe:
2ファイター(ヘラ、名無)、1タンク(メッツガー)、1マークスマン(アルヴィラ)、1アサシン(千里)という構成。
チームAce:
2ファイター(ドーウェン、名無)、1タンク(メッツガー)、1マークスマン(アルヴィラ)、1メイジ(シーナ)という構成。
互いに使用するヒーローは変わらず、使用する凡庸スキルも1戦目と同じです。チームReのメッツガーのみ、凡庸スキルが変わりました。1戦目では隠れ身の対策として観察眼を採用していましたが、2戦目ではこれが瞬間移動になりました。

ファーストキルを決めたのはチームReでした。時間にして試合開始後、1分20秒を過ぎた頃のことでした。ミドルレーンのReの名無が隠れ身を使用してボトムレーンにガンクを仕掛けた形になります。

2試合目は両チーム譲らず、タワーの破壊は試合開始後9分を過ぎてからという白熱した試合でした。気になった場面をいくつか見ていきます。
次の場面ではどちらかのチームがキルをとったりすることはありませんが、両チームのそれぞれの動き方は参考になると思います。

これは先ほどのファーストキルの直後に当たる場面ですが、もともとミドルレーンにいたAceの名無がボトムレーンにいる状況です。チームReのメッツガーとアルヴィラはミドルレーンのミニオンを処理し、トップレーンに向かいます。Ace側のミドルレーンファーストタワーにミニオンを押し付ける形です。これを対処すべくトップレーンのAceのドーウェンがミドルレーンに入りカバーします。結果、ドーウェンがミニオンロストをしっかり防いでいます。他のレーンの状況に臨機応変に対応した形です。一方、Ace側トップレーンではシーナが1人いる状態になりました。これを受けて、Reのメッツガーとアルヴィラ、さらに名無がトップレーンに向かっていることがわかります。タワーにミニオンを押し付けることで局所的に人数差を作ることが出来ているということです。Reのメッツガーはミートフックを予測打ち、もしシーナがタワーに寄っていたら引っ張ることが出来ていたと思います。Aceのシーナは静電界を用いて移動速度をあげた上でブッシュの方向に進み、これを回避。どちらのチームも一歩も譲らないレーン戦の駆け引きになっています。

ブッシュでの待ち伏せが上手く決まった場面もありました。

ミニマップの動きを見てみるとReのヘラと千里が深淵の支配者脇のブッシュに潜んでいたことがわかります。Aceのメッツガーとアルヴィラが最初にボトムレーンのミニオンを処理、その後、ミドルレーンへ向かいます。続いてReのヘラと千里がミニオンを処理し、同様にミドルレーンの方向へ向かいます。この時、チームAce視点ではヘラと千里はミニマップ上から消え、一見、ジャングルに向かったのか、それともミドルレーンに向かっているのかの判断がつきません。Aceのメッツガーとアルヴィラはミドルレーンのミニオンを処理したあと、ボトムレーンへ戻ろうとします。

そこをReのヘラと千里が奇襲した形です。奇襲を仕掛ける際にミドルレーン付近のブッシュに潜む方法は有効かもしれません。
 

最初のタワー破壊は集団戦のあと、ミドルレーンにて起きました。


集団戦ではReのメッツガーがラムスローターをAceのシーナ、メッツガー、アルヴィラの3人に入れ、これにReのアルヴィラのブラッドブルーム、名無の鏡花水月が合わさっています。ミドルレーンでは当初、Re側が3人、Ace側が4人でしたが、画面外にてAceの名無をキルすることに成功したReのヘラと千里が合流したことにより、Re側が5人となり人数差が生まれることとなりました。この後、Reがタワーを破壊しますが、よく見るとタワーダメージをヘラが受けていることがわかります。HP量に余裕のあるヒーローがミニオンを守ることで、タワー破壊を確実に進めることができています。5人揃っており、かつ、相手が4人落ちているとなるとタワー破壊のスピードは凄まじいものがあります。ミドルレーンの3本のタワー全てを一度の集団戦後に破壊できています。集団戦の後に素早くタワーを破壊する動きは参考になると思います。

決勝戦2戦目では両方のチームが全滅コールを鳴らしています。試合終盤の場面を見てみます。

動画前半の場面では、Reが先にAceのドーウェンをガンクし、これをキルします。残るAceの4人はタワーに集結。5人対4人の集団戦となりましたが、これを制したのはタワー下で上手くミニオンを処理しながら当たることができたAceでした。Reがタワー下に入る場面、Aceはメッツガーと名無が先に入り、その後からシーナとアルヴィラが入っています。シーナとアルヴィラが後入りすることでReのメッツガーはラムスローターを先に使うことはできず、結果、Aceのメッツガーが先にラムスローターを使い、それにシーナ、アルヴィラがultiを合わせることでダメージを出している様子がわかります。

動画後半の場面の集団戦では両チームともにメッツガーのラムスローターをきっかけに攻撃をしていますが、全滅コールを鳴らしたのはReでした。
参考までにスローver(音なし):

Reのヘラの忍び寄る死、千里の影クナイ、が発動されるタイミングがちょうどAceのラムスローターからの回避になっています。

ヘラと千里が先に相手の懐に侵入することができたということになる。

その後ヘラは1スキ→2スキ→通常攻撃→1スキの動き。この時、ヘラの2スキ、運命の果て、がAceの名無のスキルの発動を妨害したように見えます。画面では非常に見づらいですが、ヘラがちょうど2スキを使うタイミングで 画面左上の名無のUltiの使用可否のブルーのアイコンマークがグレーに変わっているのがわかります。ヘラの2スキ、運命の果ての引き寄せは相手のスキルの使用を妨害することができます。
※知らない人のために補足すると、ultiが使える状態だと味方ヒーローのアイコンの下には次の画像のように青いアイコンがついています。ultiが使用済みになるとこれはグレーに変わります。味方ヒーローがulti使えるのかどうか、を確認することができるということです。

↑この画像の場合は4人ともultiを発動できる状態である、ということを示しています。

名無のアイコンを見るとグレーになっている。Reの千里の卍斬りはAceのアルヴィラに使われているため、ヘラによるものとわかる。

またこの場面では、 Aceドーウェンのulti、運命の聖槍がクールダウン中であったことも集団戦を左右した要因の1つだったかもしれません。いくつかの要因が重なったことでReが全滅コールを鳴らすに至りましたが一番大きなポイントはヘラと千里がラムスローターに支配されなかったことではないか、と個人的には観ていて思いました。
それにしてもこうして1つ1つ何度も繰り返して観直すと、決勝戦に進んだプレイヤーたちがいかに上手であるかよくわかります。参考にしたいものです。
2試合を獲ったのはチームRe、続けて3戦目にいきます。

試合動画(止まっている場面が多くありますがこれはミラティブくんの仕様でしたのでご了承ください)

決勝戦3戦目:Re vs Ace

土曜日優勝チームのReと日曜優勝チームのAceによる決勝戦の3戦目。
構成は次の通りでした。

チームRe:
2ファイター(ヘラ、名無)、1タンク(メッツガー)、1マークスマン(アルヴィラ)、1アサシン(千里)という構成。
チームAce:
3ファイター(ドーウェン、名無、八神)、1マークスマン(アルヴィラ)、1メイジ(シーナ)という構成。
Reは2試合目と同じ構成、Aceはメッツガーが八神に変わりました。そして、凡庸スキルに隠れ身を採用。1試合目、2試合目において隠れ身を使っていませんでしたが、これはRe側に観察眼を持たせないための布石であったということになります。bo3という勝負形式を上手く活用したこの作戦に驚いた方は多くいたのではないでしょうか。

3戦目ではファーストキルが起きる段階で5対5の集団戦になります。そして試合開始3分の時点で全滅コールをならしたのはAceでした。


先にシーナを引っ張ることにReメッツガーは成功しますが、この時点でAceの八神は隠れ身を使っていたことになります。そして八神のulti八乙女がReのアルヴィラに見事に決まっています。ヘラがいるとはいえ、観察眼がない状態では隠れみを使っている八神を見つけ出すことはほぼ不可能です。また、この場面では、Aceのアルヴィラがブラッドブルームを全て撃ち切ることができています。

5人で固まり、八神のイニシエートに攻撃を重ねる戦略をとったAceはその後、ボトムレーンのガンクにも成功。八神のultiによるサプレッションが攻撃可能なヒーローの人数差を作り出せています。また、後半の場面ではRe側のボトムレーンファーストタワーが折れていることから、Re側ジャングルへの侵入がしやすくなっているのでしょうか。八神の隠れみから始まるイニシエートは再びReのアルヴィラに入ります。ここの集団戦もAceが押さえ、そのままggへと繋がりました。7分台での決着となり、長引かせることなく次々と攻撃を仕掛けるAceが試合のペースを掴んでいたように見えます。

個人技の光る場面もありました。


Reの名無が1スキの行雲剣で飛び込み、そこから鏡花水月に繋げるムーブをAceのドーウェンが運命の聖槍を用いて防いでいます。ちょうど飛び込んでくるタイミングに合わせるのは相当難しいように思いますが、見事に1.5秒のスタンを付与しています。

決勝戦3試合目はbo3の特質を上手く活用し、凡庸スキルの選択の時点で優位をとったAceが勝利しました。八神でアルヴィラ、名無といった火力を出すヒーローを最初に狙うこともしていました。集団戦の仕掛け方とタワー折りへの繋げ方の早さが試合時間の短さを表しているように思います。非常にハイレベルな試合だったと思います。
第一回WACの優勝はチームAceでした、おめでとうございます。

試合動画

終わりに

観戦記をまとめるにあたり、アーカイブを何度も見直しました。その中で気になる場面を抜粋しましたが、全ての場面について触れているわけではないため、その点はご了承ください。試合模様全てが気になる方は各まとめの最後にあるYoutubeの試合動画を見ると良いと思います。決勝戦3戦はどれも素晴らしいプレイに溢れていたと思います。まとめるにあたってじっくり観ましたが、abcgo自身勉強になったことは多いです。
最後にオンライン大会を開催、配信をされた†キリト†さんに感謝を申し上げます。

次回更新について:
どうしましょう…HOCという死んだ神ゲーについて扱ってみるのもいい気がしています。また、いつアップデート、実装されるか不明な新ヒーローのジョン?!ちゃんについてをやるかもしれません。

[第一回5vs5公式大会]Warsong Championshipを振り返る!」への1件のフィードバック

  1. 詳しく書いてあってとてもためになりました┌(┌ ・ω・)┐ダンッ
    次の大会でのマーモンの活躍をお祈りします( ˘ω˘)スヤァ…

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